キングスマン

キングスマン

(Kingsman: The Secret Service)』




を観ました。



9月12日TOHOシネマズ渋谷にて。



http://kingsman-movie.jp/






この映画の原作者はマーク・ミラー。超不謹慎アクション・コメディ『キック・アス』を世に放ち、それ以前にはボンクラ覚醒型アサシン映画『ウォンテッド』も手がけたヒットメイカー。個人的に、どちらも大好きな作品です。





(以下ネタバレ注意!)





主人公(若い男性)が自分を変えるため、自分を取り巻く環境を変えるためにヒーロー的存在になろうとする物語。



その構図はウォンテッド、キック・アスキングスマンの3作品に共通していると言えます。巻き込まれる性質の強いウォンテッドは違うという見方もあるでしょうけど。



キングスマン』の導入部は…母子家庭に育ったイギリスの青年が、ピンチに陥ったところをスーツ姿の紳士に救われ、そのままスパイ組織にスカウトされます。派手なつかみで客の心をつかみつつも、主人公の背景と心の動きを丁寧に描いていく手腕は見事。



中盤では常識ハズレの特訓シーンを描きながら、同時に世界に迫る大いなる危機を描いていく。面白い。面白いよー!



しかし、続いての展開=起承転結でいうところの転、これを突きつけられた瞬間に「んー、それは新鮮さが無いよー」と思ってしまったのです。



ウォンテッドでは、アンジェリーナ・ジョリー演じるフォックス(超強い)が、自分のやってきた行為の意味を知って組織のメンバーたちと無理心中します。



キック・アスでは、ニコラス・ケイジ演じるビッグダディ(超強い)が、マフィアに不覚を取ってつかまり、拷問の末に殺されます。



キングスマンでは…コリン・ファース演じるハリー(超強い)が、(描き方、緩急の付け方などの味付けは丁寧かつ大胆で見事とはいえ、)死にます。



過去作で見せつけられてきたのと同じツイスト展開をテコにしてストーリーを推し進めようとするマーク・ミラー最新作キングスマン。チルは結局そこが気になってしまい、ノりきれませんでした。



アクションのアイディアも超斬新でアガるんですけど、カメラワークもスピード感を出すのに尽力しすぎていて、「え、なになに」「そこまで面倒くさい撮り方しなくても良くない?」と感じる部分が多くて、キック・アスの時のような興奮には至らず。



起承転結の結であるクライマックスも、惜しいところが多かった。サミュエルLジャクソン演じる最大の悪役の死にっぷりも伏線張ってないからカタルシス薄めで普通。タイムリミットが迫ってる!というベタな盛り上げ方も、2度目3度目の観賞までテンションを保てるかというと微妙な感じ。



バイオレンス大好きっぷりが伝わってくるのは良いんだけどちょっと露骨すぎたかな。こういうシーンが見せたい!という思いが先行して、フックきいてない気がしました。



アクション映画の新時代を切り開いた作品だけに必見とは思うんですが、個人的な評価はあまり伸びませんでした。とにかく惜しいよ!