PACIFIC RIM

 ギレルモ・デル・トロパシフィック・リム』を観ました。ユナイテッド・シネマとしまえんIMAX 3D版を観ましたよ!
簡単に言うと大満足! 怪獣映画としての完成度と、巨大ロボット映画への挑戦がハイレベルに融合。「この映画の題材には惹かれる、でももしかしたらハズレかも?」って不安に感じてる方がいるとすれば杞憂です。
 おおまかに言うと「ドリフト」という設定が巧いですね。ロボット(以下イェーガーと記する)1体を人間1人で動かすと脳への負担が大きすぎるので2人1組で操縦する。2人の神経をリンクさせてさらにイェーガーとリンクさせることで操縦が可能になるのがドリフトというシステム。この独特の設定が作品全体のドラマ性を生み出しています。
 予告編に登場した「シンクロ率」という表現でエヴァンゲリオンとの関連性を感じた人がいたのかもしれませんが、エヴァとの共通点はありません
 ドリフトでイェーガーを操縦する=2人のパートナーシップが重要なので、そこに色んなドラマが生まれる事は当然ながら、ドリフトをするに当たって意識をリンクさせる直前にパートナーの過去の記憶を追体験する「ブレインハンドシェイク」という過程が必要なわけで、これがまた巧い。
 このブレインハンドシェイクがキャラクターの背景を表現するのにうまく使われていて、シナリオ全体の構成がうまくまとまっていました。普通は「キャラクターが重い口をやっと開いて吐露する過去」みたいなシーンを必要とするのですが、そういうのを取っ払ってしまうのがブレインハンドシェイクという設定。感心しました。
 ドラマ性は充実してます。主人公ローリー、その新パートナーであるマコ、軍部司令官スタッカー、ローリーがいない間に地球を守り続けたオーストラリアの親子パイロット、オタクな怪獣学者、偏屈な物理学者・・・それぞれのキャラクターがドラマを描き、成長し、勝利を目指します。具体的には書きませんが、陳腐なドラマはありません。
 主人公はアメリカ人ですが、マコは日本人パイロット。オーストラリア、中国、ロシアという太平洋に面した国々がそれぞれ個性的なイェーガーを作り上げ、それらを個性的なキャラクターが操縦しています。この辺はマーケティングを意識しているうまい設定ですが、巨大カイジュウがパシフィックの海溝から出てくるんだから仕方ないw
 日本製イェーガーは「第一世代」として過去の物となってます。その点はちょっと寂しいけど続編に期待しましょう!
 イェーガーvsカイジュウのバトルはド迫力。IMAX 3Dの劇場で、しかも前の方に座ったので視界全体に数千トン級の肉弾戦が映し出されると「えっ、なにがどうなってんの?」と感じる場面が無くは無かったですが、やっぱり3Dでの観賞をオススメします。
 ローリーとマコが操縦するアメリカ製イェーガー「ジプシー・デンジャー」は、色んな兵器を隠し持っていていかにも主人公的w 基本的にはパンチでタコ殴りにしてからのプラズマ砲が必勝パターンなのですが、あるピンチで出す王道武器にはめちゃ燃えたし、ラストに飛び出すスーパーロボットオマージュ兵器にも高まりました。
 終盤の展開もめちゃ熱いです。文句なし。美しすぎる。
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 ネタバレで書きます。
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 カイジュウが2体同時に出現する絶望的な状況で、才気にあふれるマコが最初のドリフトに失敗して意気消沈しているため出撃を許可されずに主人公とともに待機。中国、ロシア、オーストラリアのイェーガーが同時に発進。3対2でなんとかカイジュウを追い詰めるも、広範囲電磁波アタックによって電力制御で動いていたイェーガーが機能を停止する。
 司令官「もうダメだ!」
 主人公「原子力制御のジプシー・デンジャーがあるじゃないですか! 俺たちに行かせてください!」
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 ・・・この流れ最高でしょう! これだけ愛と熱意とテクニックのこもったシナリオなのに小さな矛盾とかを突いて減点したがる辛口野郎もいるでしょうね。僕はギレルモ君に拍手を送りたいです。とにかく素晴らしいですよ! メキシコのオタク監督が生み出したハリウッド級ロボット映画パシフィック・リム。日本人なら絶対に観るべし!