悪いやつら

 新宿でフラフラしてたら韓国映画『悪いやつら』が上映中じゃないですか。チケット買ってみたら月曜日はメンズデーってことで¥1000で見られちゃうと。イェーイ。
 『オールドボーイ』の気違いチェ・ミンシクと『チェイサー』の気違いハ・ジョンウの競演。なかなか期待できるじゃないですか。
 ざっくり言うと韓国映画らしすぎる韓国映画。無意味な暴力で牽引力を生み出している気になってる脚本。暴力が生み出す「恨」の連鎖。韓国映画のメインストリームはこんなのばっかりですか?
 80年代〜90年代にかけて、大統領による大号令で暴力団排除を掲げた当時の社会情勢にフィットした物語なので、そこを評価されてるんでしょうけど、日本人がそれを見せられたところで展開に惹きつけられません。
 序盤は「ただのおっさんが黒社会でのし上がっていく出世物語か!」とおもったんですが、あっけなく地位を固めてしまったのはガッカリ。中盤以降に根回し、口八丁、ロビイ活動で手腕を発揮してヤクザとしての地盤を強固なものにしていくのですが、信頼を得る過程を描くなら前半で濃い目に描いてほしかったなあ。
 あと、暴力の理由が縄張り争いとかメンツとかそういうベタなものばかりで新鮮味が無かったですね。どいつもこいつも人間性が矮小だから自滅していく。
 コピーで「スコセッシが見たら喜んだだろう」とか言ってますけどねー。「タイム」の記者が書いたものだから製作者に責任は無いけど、誇大広告も甚だしいわ。グッドフェローズのような笑いとシリアス感のバランス感覚はさっぱり感じない。クライマックスもつまんないなー。
 芝居の迫力だけで牽引力は補いきれないよ。チェ・ミンシクとハ・ジョンウというスター俳優を起用していたにしては脚本に巧みさを感じなかった。2人が出てなかったらこんなにヒットしてないだろうし。
 オールドボーイやチェイサーは暴力の背景に新しさやチャレンジ精神を感じましたが、この作品は・・・
 こういう映画でも470万人動員するってことは韓国人が韓国映画に失望していないってことですかね。その事実に関してはうらやましいかな。