Kick-Ass 2

 2014/02/22 TOHOシネマズ有楽座にて『キック・アス ジャスティス・フォーエバー』を見ました。(公式サイト)
 前作『キック・アス』のあらすじを書きますと。
 冴えない男子高校生が、自分を変えるためにコスチュームを着てパトロールしていたらチンピラのケンカに巻き込まれ、その様子を撮影した動画がYouTubeで拡散されて急に人気者になって。
 そこからマジもんのマフィアに恨まれたり、そのマフィアを狙うマジもんのコスチュームヒーロー親子を巻き込んでしっちゃかめっちゃかになる映画でした。
 前作『Kick-Ass』が人気になった理由はなんといってもヒット・ガールというキャラクターを生み出した点にあります。コスチュームを脱げばキュートな女子中学生なのに、圧倒的で残酷な戦闘力と極めて下品な言葉遣いを容赦なく発揮。
 中学生にこんなことさせて良いのか?というモラル面の問題はあったと思うのですが、それを吹き飛ばすくらいテンポの良いシナリオや、残酷だけじゃない斬新なアクション描写が作品のクオリティにつながっていました。アクション映画史に残る傑作です。まだ見てない人は是非ご覧ください。
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 さて『Kick-Ass 2』です。日本ではあまりヒットしなかった(チルもDVDレンタルで見た)ので『キックアス・ジャスティスフォーエバー』という邦題が付けられました。
 主人公キックアス/デイブを恨んでいたマフィアは前作の流れで壊滅状態に陥ったものの、一人息子であるクリスは父親をバズーカで木っ端微塵にしたキックアスへの恨みを募らせており、復讐の手段を探っていた。
 ヒットガール/ミンディは父親の敵だったマフィアのボス・フランクを倒したことにより一人の高校生としての生活を送るようになったのですが、まともな勉強をする気は一切なく登校と同時にタクシーで隠れ家に行って人殺しのトレーニングをする毎日。
 キックアス/デイブは一旦ヒーロー活動から手を引いて彼女にかまけていたのですが、一度味わった快感は忘れることが出来ず、本当のヒーローになるべくヒットガール/ミンディのスパルタ教育を受けることを選びます。
 今作は最初から最後まで、キックアス/デイブ、ヒットガール/ミンディ、そして元レッドミスト/クリスの3人を軸に描いた物語になっています。この3軸のバランスが良くて非常にテンポが良い仕上がりになってますね。
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 ヒットガール/ミンディは父親代わりの警察官マーカスに学校をサボっているのがバレて叱責を受ける。トレーニングとは言えないので「ショッピングモールでデートしてただけ」等と誤魔化すものの、結局ヒットガールへの未練を見抜かれてしまい(そこに至る経緯が笑えます!)、二度とヒットガールにならないという誓いを立てることに。
 自信をつけて再びパトロール活動をするようになったキックアス/デイブは、自分を真似るように増え続けるコスチュームヒーロー達と出会い、スターズ&ストライプス大佐(アメリカ国旗マンセーおじさん)が率いる『ジャスティスフォーエバー』というチームの一員となる。
 キックアスがS&S大佐からジャスティスフォーエバーのメンバーを紹介されるくだりが面白すぎて大爆笑しました。
 息子が行方不明になり、それを世間に知らせるためにコスチュームを着る初老夫婦(ユニット名はRemember Tommy)の不謹慎な感じだったり、スパイダーマンもろパクりのインセクトマン(なぜかマスクは被らない)だったり、「オペラを見た帰りに両親を殺されて…」とバットマン設定をパクるバトル・ガイ(デイブのクラスメイト)だったり。パロディの質とコントのような空気が合わさってたまらなく笑えます。
 元レッドミストことクリスは自分も強くなろうと真面目にトレーニングをするため総合格闘技のトップファイターに弟子入りするのですが、やっぱり戦う才能と根性が無いのであっさり諦めたあげく「自分には金がある!」と悟って金で犯罪者を雇うことに。クリスがトレーニングを始める前に「チャック・リデル(UFCでトップファイターだった選手)とか呼んでこい!」と無茶を言った後、本物のチャック・リデルが出てくる流れには涙が出るほど笑いました。
 ヒットガール/ミンディは戦闘力を封印してまともな高校生活を送ろうとするものの、スクールカーストトップに位置するイケてる風女子から目を付けられる。ここでミンディがイジメられる流れにはならず、グループに勧誘されていく展開が斬新ですね。イケてる女子の家に誘われてワン・ダイレクションもどきのプロモを見てるところなんて面白すぎます。
 生きる希望を見出したキックアス、絶望的な高校生活を始めたヒットガール、そして復讐心をたぎらせるクリス改めマザーフ※ッ※ーが、どのようなドラマを見せるのか!? 是非是非映画館で確かめてください。
 物語前半の特盛りコメディっぷり、後半のド派手なアクションと切なさを交えたドラマ性。これだけ完成度の高いシナリオを「前作ほどではない」や「期待してたのはこれじゃない」などといった曖昧な印象で見下すのは間違ってます!
 クライマックスでのヒットガールvsマザーロシアの”女性同士とは思えない”対決はアクション映画史に残る名勝負! 格闘ゲームの「超必殺技」みたいな斬新な描写には感心しました。
 前作以上に素晴らしい『Kick-Ass 2』! 前作以上に下品な描写もありますが・・・とにかく見るべし! あ、エンドロールが始まっても席を立たないことをオススメします。