つばさFly定期公演にただのハロヲタが参加したわけ

 2014/05/15、渋谷BURROWにて『つばさFly定期公演vol.7』を見てきました。

 インディーズ体制で頑張ってる<つばさFly>という5人組アイドルグループが主催するライブイベントに行ってきたのです。


 チルが溺愛しているハロー!プロジェクトは5組のアイドルグループをヒットチャートに送り込み、全てのグループが全国ツアーを打っています。ものすごく体力のあるプロダクションによる巨大なビジネスです。


 そんなハロプロの論理に染まっているチルが、対称的な存在であるインディーズアイドルを観にキャパ130人のライブハウスへ赴いた理由は、その公演に「かつてハロプロに所属していた女性が出演するから」です。


 去年結成され、デビューを果たし、日本レコード大賞新人賞を受賞したJuice=Juice。チルが一番熱を上げているグループなのですが、そのグループのメンバーに選ばれるものの、メジャーデビューを前に脱退した大塚愛菜さんが今回の公演に出演するとの情報が!


 Juice=JuiceのインディーズデビューシングルのMusic Videoを見た際、チルの心に一番強い印象を残したのが大塚愛菜さんでした。特徴的な声質と新人らしからぬ技術、黒髪ショートボブから覗かせる不安気な表情。グループ全体の質の高さ=ハロプロ研修生のレベルの高さを思い知ると同時に、個にも秀でたグループだなと一瞬で理解したのです。








 現メンバーにも劣らぬ資質を持っていた大塚愛菜が選んだ「前触れもなくハロプロを脱退」という選択は到底理解できないものであり、理不尽な結末にチルは涙を流しました(←不要な情報)。


 脱退から10ヶ月弱、4月23日に、とあるライブイベントで大塚愛菜さんがステージに立って歌を披露したという情報がネットを駆け巡り、チルも驚愕。その日の夜には大塚愛菜さんのblogが公開されました。「本当につかぽんなのか?便乗した騙りアカウントじゃないのか?」という疑念を抱きつつも、そのblogにいつも通りキモくて長いコメントを投稿してきました。


大塚愛菜☆Second Step☆


 更新されていくごとにblogを書いているのは大塚愛菜さん本人であることが分かり、彼女が「再びステージに立って歌いたい」という意志を表明してくれたことにチルも大喜びしました。


 5月10日の更新にて「5月15日のライブイベントに出演します」との旨が告知され、唐突なタイミングと心の準備期間の短さに戸惑ったのですが、意を決して未知の空間へ飛び込んできました。


 いつも通り前置きが長くなりましたけどここからライブイベントレポでーす。


  開場30分前にライブハウスの前に到着すると20-30人ほどの男性が待機中。チルは「ハロプロの現場でよく見る顔」を感知する能力はないので、どの程度の人数が大塚愛菜さん目当てなのかは分からなかったです。入場受付で「誰を見に来られましたか?」という問いに「大塚さんです」と答える客が大半で、開演直前には100人以上の客でいっぱいに。チルは2列目の下手寄りで茶と黒のキャップをかぶってましたよ。


 オープニングアクトとして、つばさFlyメンバーのうち2人がAKB48の曲をカバーした後、大塚愛菜さん登場。黒髪の前髪ぱっつんは脱退直後のイメージと変わらないですね。髪全体は長めになっていて、メイクはナチュラル。衣装は茶色系パーカーに白いロングスカート(ワンピの上にパーカー?)、厚底なスニーカー。アイドル的な露出に比べると落ち着いた感じが強調されて、中学生→高校生の時間経過を感じなくもないです。


つばさFly鹿木香里さんのblogより、つかぽん写真


 どう変わったかを確認することより、あの[つかぽん]が1.5メートル程度の距離に立っているという事実を飲み込むのに時間がかかりました。彼女が出てくる直前の緊張は今も感触として残っています。つかぽんの目には動揺や緊張がさほど感じられず、そこは流石にただの素人とは違う経験値の多さが感じられました。


 曲前、曲間にMCで間をつなごうとしていたつかぽんはなかなか言葉が出てこず、とにかく緊張を強調してアタフタしてたんですが、メジャーデビューをつかみかけた元アイドルさんだけに、その挙動を見ているだけで自分の中に高揚感が生まれました。


 およそ20分の持ち時間で大塚愛菜が歌った曲はMy Little Lover『白いカイト』、Judy and MaryOver Drive』の2曲でした。オープニングアクトの2人が…なかなかに悲しいレベルのボーカルだったので、それに比べると流石に安定感が段違い。研修生時代、小田さくら(現モーニング娘。)と競っていた歌唱力は流石だなと実感。


 鼻声と言いたくなるようなつかぽんの個性は影を潜めて、素直と言うべき発声に変わっていたように思います。My Little Loverもクセのない薄味ボーカルだし、そこは原曲に近い押し出し方かもしれませんね。


 ジュディマリ曲もこれといって変化を付けずに歌っていたので、「ジュディマリっぽさ」をつかもうとする表現幅の広さのようなものは感じられず。自分の個性を出すという観点から見ても、もっと面白い選曲が出来たんじゃないかと思います。


 今回の2曲も、しょせんは90年代J-POPであり、あの時代の中で特別に輝いていた楽曲とも思えないので改めて曲そのものに感動するということはありませんでした。


 4月に突発的に「復活」を遂げた際も30-40代が反応しそうな曲をカバーしていたみたいだし、この偏り方からは大塚愛菜というより背後にいる大人の感性がどうしても浮き彫りになってしまっていて、その方向性には落胆せざるを得ません


 たった20分で何かを判断するべきではないかもしれませんが、もっと思い切った選曲に踏み込む勇気、そこに向かってトレーニングを積む過程で得られる自分らしい感性を手に入れてほしいなと思いました。


 オリジナル曲を提供してくれるプロデューサーと出会い、自分ならではのライブを確立するまでにどれくらいの時間がかかるでしょうか? 途方も無い、道なき道を選択した大塚愛菜の中には大きな思いが燃え続けているんでしょう。


 20センチメートルのお立ち台に乗って歌う大塚愛菜は、観客1人1人の目を見つめながら歌っていました。ハロプロ現役メンバーでもなかなか出来ないアイコンタクトの多さだったと思います(後ろの方にいた皆さんごめんなさい)。その眼差しの奥にある決意…是非みなさんも確かめに行ってください。


 つかぽんのMCから気になったところをピックアップ。


○「つばさFlyさんの公演を観客として見ていた私が、立場変わって今じゃステージ上にいて、『アリ?』って感じです」


○今日のMCについて学校でずっと考えていた。「まずはありがとうって言わなきゃ」って思ってたら、学校の授業中に声に出してしまい、クラスメイトや先生が???な反応


○高校ではダンス部に所属している。「踊り見せてー」という声に「踊りません。今日は踊りません。もう踊りません。歌で、頑張っていきます」


○毎日お弁当を作っている。この日の朝食はそれの余り物。


○活動の方向性は未定だけど、とにかく歌がうまくなりたい! みなさんの前で歌うのも好きだし、だから戻りたいと思ったし。


○課題がいっぱい。歌うまくなること。表現力をつけること。MCうまくなること。


○誰でも知っているような歌手になるのが目標。学校の勉強と両立して頑張る!


 こんなところです。




 そんな大塚愛菜さんの出番に続いて登場するは…2&(ダブルアンド)。チルは予習なしで2&の登場を待ちました。ステージに小柄な女の子が1人 現れました。2&は…ソロアイドルでした! ネーミングからの意外性は間違いなくありますね。検索しづらいですけど。


2& DOUBLE AND official web


 SEに乗って2&が登場した直後、赤いTシャツを着た2&ファンの皆さんが一斉に掛け声を発して気合い入れびびっちゃいました。チルはなんとなく3列目辺りに後退しましたが、ステージ上の2&の顔も見れる位置でした。


 彼女の衣装は赤いTシャツにフリフリフワフワのミニスカ、その下に黒の短パン。黒髪セミロング。身長低め(148cm)。ビジュアルの第一印象は…元スマイレージ前田憂花さんっぽいなー。クリッとした目が印象的なんですが、そういった情報よりも、キリッとした表情と佇まいで作り上げるステージの空気・世界観にすぐ引き込まれました。


 ギターがグイングイン唸るハードなロックナンバー、可愛さはあまり感じさせないけどゴス的なアプローチのシリアス歌詞世界がかなりカッコいい。器械体操経験を活かす華麗かつ激しいダンス。激しさだけでなく多様なアプローチの振り付けに、場数を踏んでる感ありありなしっかりした歌唱力。


 曲後半には息切れする瞬間もあるのですが、スペックにすりよらずに高いレベルを目指している姿勢が逆に好印象。idol+artist=idotistを自称してるそうですよ。


 最後の曲『リアル』では2&がダイブを敢行!ファンにワッショイされながら歌い続ける様、しかるべきタイミングでステージに戻る様は感動的でした。



 曲終わりで乱れた呼吸のままに、まっすぐな気持ちをぶつけるMCもカッコいい。idotist Saki と 観客であるあなた とで作る関係性=こそが2&である、というコンセプトを伝えつつも18歳の等身大な人間性も見えるし、感心しちゃいましたよ。


 「やってることがカッコ良い」という事実の上に「ビジュアルがとても可愛い」という要素が加わることで、アイドルとしての説得力が一気に増すんだなと感じました。安易ながら、「これならメジャーデビューしても良いんじゃないの?」と思いました。


 2&は元々2人組だったみたいですが、2枚のシングルリリースの後で1人が辞めちゃったんだとか。残されたSakiさんはそれでも2&の名義を捨てずに活動してきたんだそうです。


 そんなバックグラウンドは抜きにして、ひと目見ただけで興味湧いちゃいましたね。多くを感じられた貴重なステージでした。




 続きまして主催のつばさFly登場。彼女たちに関しては、つかぽんblogで出演が告知された直後にYouTubeにアップされているMVを1度だけ見ました。センターさんの声が太っ!ってツイートしたら早速ファボられてました。


つばさFly official web


 つばさFlyは5人組のグループです。ユニゾン多めでこの日はオリジナル5曲+カバー1曲+アンコール1曲というセットでした。カバー曲はハロヲタに寄せて『恋愛レボリューション21』でした! (誰でも知ってるあの曲!と言いながら5人が縦1列になった時は『Danceでバコーン!』かと思ったけど)



 メタル的な重たいロックサウンドをベースにしながら、明るい楽曲もあるしシリアスな歌詞を切実に歌う曲もあるしで自由な感じです。


 ユニゾンが多めで個人個人のボーカルをしっかり聞き分けることは出来ませんでしたが、煽りテクニックも強気に挟んでフロアを熱く盛り上げます。最前列の柵に足をかけてオラオラな空気を出されるのも楽しかったですよ。


 ダンスのレベル自体はよくわかりませんけど、2&よりはアイドルっぽい可愛らしさを含んでました。ノリはTHE ポッシボーに近いかもですね。


 ライブハウス3列目の至近距離で見ていると、つばさFlyのみなさんの視線がチルの顔面近辺に降り注ぐので「全員をできるだけ均等に見なきゃ」って気遣いが生まれるのですが、正直なところ、5人のうちの2人に対してチルの視線がグイグイ吸い込まれていくのを感じました。


 茶髪で一番身長の高い藤井勇綺さん、そしてショートカットで赤い衣装の間からお腹を出していた鹿木香里さんです。


 藤井さんはダンススキルがアタマ1つ抜けてた印象。キリッとシャープな目を持つお姉さん系ですね。表情もカッコ良くて煽りも男まさりで。声はかなりハスキー。素敵でした。


 そして鹿木さん。彼女を見ていて「モーニング娘。'14の生田衣梨奈に似てるなあ!」と何度も思いました。公演直後にblogがアップされるや否や、2ちゃんねる・モ娘(狼)板でスレが立っていました。


 しかしチルが目を奪われたのは'14のえりぽんに似てるからというより、鹿木さんがものすごく幸せそうな笑顔を浮かべながらパフォーマンスしていたからなのです。湧き上がる歓喜を隠し切れない、といった感じの鹿木さんを見ているとチルも自然と幸せな気分に浸れました。つかぽん効果とはいえ、自分たちの定期公演が満員になったのは嬉しかったんじゃないでしょうか。


 アイドルがステージ上で見せる笑顔って何よりも大切ですから!


 鹿木さんは歌も安定してるし、かなり太い声してて聴いてて飽きない感じでしたね。この人あってのつばさFlyなのかなと思いました。センターかつイメージカラーってのは伊達ではありませんね。


 セトリで2回パフォーマンスしたつばさFlyの2ndシングル『Unforgettable Days』は鹿木さんが作詞したそうですよ。作詞するアイドル。君たち(誰だよ)そういうの待ってたんでしょ?


 というわけでチルはつばさFlyさんに対しても興味津々になってしまったのでした。ちょろいですね。







 この日ライブハウスに来ていた2&ファンは15〜20人くらいでしょうか? つばさFlyのファンも同じくらいだったと思います。平日の19時開演だからなー。


 せまいライブハウスだけにファンのコールが激しく鳴り響いてパフォーマンスに集中できなかった感もありますが、インディーズ≒地下にも立派な志を持ったアイドルがいるんだなーと思い知らされました。チルにとって記念すべき日になったかもしれませんよ?


 公演後には入場特典として2&さんとの2ショットチェキ会に参加できました。


チル「はじめましてでーす」
Saki「はじめまして!」
チェキ撮影→握手
チル「おいくつなんですか?」
Saki「18歳です」
チル「めちゃくちゃカッコ良かったです!」
Saki「ありがとうございます! またライブ見に来てください」
チル「はーい。頑張ってください!」


 こんな感じ。小さくて可愛かったよ! ハロプロでこれを再現しようとするといくらかかるかな!


 2500+ドリンク500=3000円で参加できた今回のイベントを終えて、2倍〜3倍の金額を支払って参加してる「いつもの現場」についての価値観がグラついたのは確かです。(しかもJuice=Juiceは小さいライブハウスでしかツアーやってくんないんだもん!)


 2&、つばさFlyともにCD音源を欲しくなりました。公演後の物販でCDを買うって発想が無かったので近々2&/つばさFlyに会いに行こうと考えています!



 大塚愛菜さんに会うために参加したつもりが色々と狂わされた一夜。これからチルはどうなっていくのでしょう。次に参加するライブは6・1のアップアップガールズ(仮)中野サンプラザ決戦です。これまた非ハロプロ

P.S. 大塚愛菜さんがblogで15日の夜を振り返りました。
http://ameblo.jp/ainaotsuka/entry-11853909364.html