Transcendence

2014/07/01、イオンシネマ板橋にてトランセンデンスを見てきました。毎月1日の1100円day。


クリストファー・ノーラン最新作だし絶対観るっきゃない!って思ってたんですけどエンドロール見たら「あり、ノーラン監督作じゃないの!?」とビックリ。ポスターに「ノーラン×デップ」とか書くのは反則!現行のポスターには書かれてないですけど。


本作の監督は、クリストファー・ノーラン作品のほとんどで撮影監督を務めてきたウォーリー・フィスター。脚本はジャック・パグレンによるオリジナル脚本だそうです。




ジョニー・デップには思い入れがほとんどないので彼の芝居に対する期待感もそこそこ。助演のモーガン・フリーマンキリアン・マーフィー、女優陣の顔ぶれの方がまだ馴染みがありました。


ジョニー・デップ演じるウィル・キャスターは人工知能研究の第一人者とされる天才。妻のエヴリン・キャスターも同じ分野の研究者であり、世界中から敬意を集める夫妻だった。


エヴリンを演じるレベッカ・ホールは2010年のベン・アフレック監督作品『ザ・タウン』でヒロインを演じてた女優さん。あともう1人印象的な女性キャラとして登場するケイト・マーラは『ブロークバック・マウンテン』で主人公イニスの娘を演じてました。



ウィルが提唱するトランセンデンス論は、人工知能の知性がいつか人類を凌駕する、それが現実になるのは時間の問題である」というもの。彼自身はそれによって様々な問題が解決できるようになると信じていた。


しかしその理論は人類を破滅させると危険視され、オーバーテクノロジーに反発するテロリスト団体から命を狙われることに。似たようなモチーフで殺人マシンが人類を殺戮する『ターミネーター』はある種の極論に走ってるとはいえ、人間より賢いコンピュータが生まれるのは間違いないみたいですよ。


以下ネタバレ含みまーす。



まず、おおまかに言うと「想像していたよりもずっとスリリングでサスペンスフルで大胆な展開の映画」でした。


凶弾に倒れて死亡するも、脳情報をコンピュータに移植することで自我をキープすることに成功した(ように見える)ウィル。途中からジョニー・デップのビジュアルはほぼCGになるし、この作品の主人公は妻のエヴリンと言って良いです。


エヴリンを軸にした物語は、映画のジャンル的にどこに収まるのかが分からず、良い意味で展開が読めません。だからこそ、あまりあらすじを書きたくないのです。


ウィルに依存してきたエヴリンがどうやって彼の元から離れられるかという視点のスリラーだったり、ウィルの暴走を止めるために襲撃を仕掛けるテロリスト集団を主体に描いたアクションだったり、これまでには無い斬新な映像表現が目白押しという意味ではSF映画としても画期的。


世界中のネットに接続して急速に力を付けていくウィルを描く際は意図的にホラー的な空気を強調しています。『リング』シリーズ(特に小説版)において、読者の想像を超越していく山村貞子を連想しました。その意思を決定しているのは本当にウィル自身なのか、ただのプログラムに過ぎないんじゃないか、という恐怖はなかなか新鮮でした。



そしてオーラス! 周囲に振り回され続けたエヴリンの決断、破壊神のごとくふるまっていたウィルの決断。人間を超越しようとしてきた2人がとっても人間らしい結末を迎えるのです。これはめちゃめちゃ感動的でしたね!


情報が少なくていまいちつかみどころがない映画に見えますけど、上質なシナリオはオリジナルだし、監督デビュー作とは思えない圧倒的な映像表現も壮大だし、人間ドラマもしっかり描いてます。結末を見るとカップルや夫婦に見てほしいなーと思える作品でした。孤独なチルがそんな風に思える映画ってなかなかありませんよ!


同じようにぶっ飛んだ発想の『インセプション』に比べると展開の派手さや芝居の濃度で見劣りしますけど、あくまでも現実世界の延長としてのSF作品としてとても優れた映画であると感じました。ジョニー・デップの抑えた演技も良い! これまたオススメ!