SOG制作日誌(14)

 撮影二日目。キャストはAとBの二人なんだが、助監督として鳥井真央氏が参加。これまた初対面である。浮かないようにフォローしなきゃな〜とか思っていたんだけど、なかなかタフなお嬢さんではっとりさんといつのまにかタメ口モードに入っていて、要らぬ心配だったようだ。むしろ俺の方がテンパっていたな。
 集合時間がバラバラになってしまったが、昼前から回想シーンの撮影。新宿警察署のすぐ目の前での会話シーンなのため、遠くの生け垣の裏から盗撮っぽく映す。
 それ以降も炎天下の中、ビルの間を歩きつづける。折角良さげなロケーションを見つけても、ビルの中からわざわざ出てきた警備員に止められたりして順調に進まず。さらにはビル風がビュンビュン鳴ってたせいで、のちのち全部アフレコにする羽目になる。
 昼食の後で自転車を使ったカットに挑戦。スピード感を出すためにはかかせない。俺が運転して、畑井が後部座席に座りながら撮影するという、シンプルかつ大胆な試みだったが、学生時代から無茶な撮影に挑戦してきた畑井にとっては大した事でもなかったようだ。原チャリの1台でもあれば数段楽になったんだけど、パクられるのもアホらしいし、チャリならではの迫力が出たと思いたい。
 自転車カットをいくつか撮ってから新宿地下街サブナードへ。オニごっこの途中でAとBが地下街に現れる画をどうしようかと悩んだあげく、無意味なほど面倒なカメラワークを思いついてしまう俺。人通りが多く、撮影のタイミングが10分に1回あるかないかという状態だったが5テイクほど撮り、完璧とは言えないものの一応納得するに至る。
 体力的にも精神的にもかなり圧迫を強いたと感じたのでそこで解散した。帰りの電車の中で一人、バカみたいに興奮していた。いい画が撮れたというより、いい演出を思いつく自分に手応えを感じていた。