クレイドゥ・ザ・スカイ
森博嗣スカイ・クロラシリーズ5冊を読みました。あと1冊短編集があるけど。
シリーズラストのクレイドゥ・ザ・スカイは…やられました。一種の叙述トリックかな。1巻で結末を見せられて、それがどれほど悲しいものだったのかをじわじわと実感させられていく。
でもその悲しさが最後に覆される。5冊の長編を使って仕掛けられたトリック。真実を確かめるためにまた5冊のループに陥る。
4巻の主人公クリタジンロウは戦闘中ティーチャに遭遇してダメージを負い不時着。そのまま意識を失う。
5巻の主人公は自分の名前を忘れている。それがクリタである状況証拠は揃っている。病院から抜け出して娼婦と逃避行。キルドレ研究者サガラと再会する。戦闘機に乗り続けたいと願うだけの主人公はサガラの運命にひきずられていく。
しかし5巻の主人公がクサナギである事を匂わせているけどちょっと無理があるような…病院にいる間に遺伝子操作された? サガラが注射によってクサナギのパーソナリティを植えつけた?
そんなところかな。難しいな。
1巻に残された「クリタを殺したのはクサナギ」という1つの噂は結局間違いだったのか? 理解できてないなー
しかし映画版はスカイ・クロラをアレンジした作品なので長編1冊分に等しいサイズだけど、シリーズ全体の空気をうまくつかんで取り入れていると思う。うまく出来てるなぁ。シリーズ5冊で描かれた輪廻と、長編映画1作で描かれた輪廻。やっぱりまた観なくちゃいけない。