電気ANN書き起こし1

 電気グルーヴが結成20周年だそうです。めでたいついでに電気グルーヴのオールナイトニッポン書き起こしに挑戦してみます。
 今回書き起こすのはフリートークで最も鮮烈なインパクトを残した1994年1月11日放送分の一部です。
 実質10分弱のトークピエール瀧が正月に姉の暮らす長野まで出向いた時の話。異常なほど両者のボケのテンションが高い。そんじょそこらの芸人では太刀打ち出来ない軽妙奇妙トークの片鱗が伝わると良いのですが。
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卓球「正月はどうして過ごしたかというと、僕は、ほとんどホントに家に、こもってたんですよ」
瀧「ユーチュルビック*1はね」
卓球「ゆ、僕はミーチュルビックは家にこもって」
瀧「うん」
卓球「その代わり友達が家に来て、新年の挨拶を遊びに来たりしてたんで」
瀧「とも、トモチュルビックと」
卓球「トモチュルビックとしてたんですよ」
瀧「あぁそうすか」
卓球「君は〜なんかあれじゃないですか。お姉さんのところに」
瀧「アネチュルビックのところに行ったんですよ」
卓球「もう瀧のお姉さんが美しいという評判のね!」
瀧「そうですねぇ」
卓球「擬音を付けるとしたら『おぇ〜』(笑)」
瀧「もしくは『グシャッ』とかね」
卓球「はははははは(笑)」
瀧「ふふ(笑)」
卓球「ね?」
瀧「そういう…」
卓球「姉さんのところに」
瀧「姉さんのところに、あのーうちのー家族が集まるっていうんで*2
卓球「うん」
瀧「顔も見たことない家族がね(笑)」
卓球「あははははは(笑)」
瀧「集まるっていうんで」
卓球「おぉ」
瀧「しょうがない、行っちゃるかと。一応俺も、のけ者にされると、悲しいじゃん?(笑)」
卓球「うんうん」
瀧「あれですよ。31日の夜にさ、夜中12時過ぎに、中央高速をさ、長野の方に向かって走ったわけですよ」
卓球「うん、え、え、全裸で?」
瀧「全裸で」
卓球「ははは(笑)」
瀧「蛍光塗料をね? 体中に…」
卓球「蛍光塗料を体に塗りたくり(笑) いわゆる(ヤコウ)って奴ね」
瀧「ヤコウって奴ですよ」
卓球「『今日瀧どうやって長野行くのー?』『ヤコウで』」
瀧「『ヤコウで行くんだよー』」
卓球「『へー』てっきり夜行列車かと思ったら、全身に夜光塗料を塗って、すっ裸で高速を走ってるわけですね?(笑)」
瀧「手には古新聞」
卓球「はははははは(笑) 頭にはシルクハット(笑)」
瀧「そうそうそう。右手にゲータレードで」
卓球「はははははは(笑) うわーなんかさ」
瀧「こう、タッタッタッタッと」
卓球「今年電気グルーヴとしての仕事あんま無いじゃん?」
瀧「うん」
卓球「新鮮。おまえの会話が。なんか、はは(笑)」
瀧「そうそうそうそう。でね?」
卓球「でなくて、車でですね?」
瀧「そうそう。車でね、行ったわけですよ。もちろん車運転する時は」
卓球「はははははは(笑)」
瀧「夜光塗料塗ってますよ」
卓球「夜光塗料全身(笑)」
瀧「ドリンクホルダーにはゲータレードを入れて」
卓球「はは…シルクハットを(笑)」
瀧「車の後ろには古新聞山ほど積んで」
卓球「で、シルクハットかぶって」
瀧「かぶって(笑)」
卓球「サンルーフ、車のサンルーフ開けて(笑)」
瀧「上から(笑) ビュービュー風が入ってくる。『どいてどいてー』って感じで」
卓球「風でシルクハットが飛ばされないようにアゴ紐もつけて」
瀧「アゴ紐をつけて、こうやって走ってたんですよ」
卓球「はいはいはい。中央高速を」
瀧「中央高速を走ってました。今アレらしいね? ヤンキーの人たち?」
卓球「あぁはいはい」
瀧「ヤンキーって人種いるじゃないですか」
卓球「ティーンズロードとかの」
瀧「あいつらな? アレらしいんだよ。あの、富士山に、あのー新年の、そのなに初〜日の出?」
卓球「初も、初日の出」
瀧「富士山で拝んじゃるっていうのが流行りらしいんだよね」
卓球「昔からそうだろそれは、結構」
瀧「ここんとこらしいんだけど」
卓球「おい、憶測でしょ?(笑)」
瀧「いやいや最近の話ですよ」
卓球「だっておまえ、毎年富士山の方に行ってるわけじゃないじゃん。今年たまたま行ったらそのヤンキーをいっぱい見て」
瀧「いやいや」
卓球「今年は…今流行ってるって…また憶測だろおまえ?」
瀧「いやいや違う」
卓球「雑誌の中吊り広告だけ見て記事を読んだ気になってるサラリーマンと同じで(笑)」
瀧「いやいやいや違う。富士山にね、向かうわけですよみんな」
卓球「あああそうですか。一応聞いときましょう」
瀧「でさ、途中までさ、中央高速来たんだけど、ものすごい渋滞したわけ。ね?」
卓球「おぉ」
瀧「ものすごい渋滞して『なんでこんな渋滞してんのかなぁ?』って、さすがにこう、初…詣でに行く人たち?」
卓球「(笑) モウデね」
瀧「うん」
卓球「デペッシュ・モーデ*3に」
瀧「そうそう、デペッシュ・モーデに向かう人たちが、ぎょうさんいるからぁ」
卓球「はいはいはい」
瀧「それでヤバいのかな?って思ったわけ。したらさ、そのなに、渋滞情報あるじゃん? あのー電光掲示板が」
卓球「うんうんうん」
瀧「料金所のところにバーンって電光掲示板があって、『暴走族のために渋滞中』ってさー」
卓球「出んの?」
瀧「真顔で道路公団がさ、『暴走族』ってどうも打ったらしくてさ(笑)、パチパチパチって」
卓球「キーボード打って」
瀧「キーボード打って、『暴走族のために渋滞中』って、おまわりさんとかドッサリいてさ」
卓球「うんうん。そのおまわりさんがいる中を、全裸でこう走り抜ける(笑)」
瀧「俺が」
卓球「『お疲れ様でーす』」
瀧「『お疲れ様でーす』」
卓球「『ご苦労様でーす』」
瀧「『待てー!』って感じの」
卓球「『待てーそこのシルクハットー!』(笑)」
瀧「『免許証なら持ってますよー』って感じの(笑)」
卓球「(笑)」
瀧「シルクハットの中からな(笑)」
卓球「はははははは(笑)」
瀧「ティッシュとかどかして。これですよって感じで。んでー」
卓球「んで(笑)」
瀧「行ったらさー違うのな最近のヤンキーは」
卓球「ん、あぁ、どういう?」
瀧「昔のヤンキーっつたらさぁ、ハコスカ・ハの字? ハコスカ・ハの字…」
卓球「あぁ、ハの字っていうのはタイヤを(車を)前から見るとカタカナのハの字になってる、僕の眉毛と同じ状態になってるあれですね?」
瀧「ハコスカ・ハの字…日本刀だったじゃないですか(笑)」
卓球「なんだそれなんだそれ(笑) ハコスカ・ハの字、出っ歯竹やり」
瀧「出っ歯竹やり。出っ歯竹やりで特攻服っていうのがあれだとして、大体それはクリアしてるんだけど」
卓球「うん、それは変わってないんだ」
瀧「気合い入れてブイブイ言わしてたじゃん? ホントに」
卓球「うんうん」
瀧「道をドーンってホント暴走してさ」
卓球「まさに暴走族」
瀧「暴走するのは『これから暴走しよう』と思って暴走するんだけどあの人たちは(笑)」
卓球「うん」
瀧「そしたら違うんだよ。最近のって」
卓球「うん」
瀧「ノロノロノロノロ? ノロノロ運転?」
卓球「うん。野呂圭介だ?」
瀧「野呂圭介!」
卓球「はははは(笑)」
瀧「野呂圭介でー」
卓球「はははははは(笑) AKB*4だ?」
瀧「そうそう。あの格好をね? あの格好、みんなほら…なにこう…なんて言うのあれ? ボンタンじゃないや」
卓球「ニッカボッカみたいなやつ?」
瀧「ニッカボッカみたいなやつ履いてさ、背中にみんな書いてあるわけ」
卓球「刺繍が」
瀧「散ってみせますこのなんちゃらとか…」
卓球「あぁあぁ、あるねぇ」
瀧「あと怖い…」
卓球「怖い(笑) 怖い字でなに、『13日の金曜日』とか書いてあったりとか?(笑)」
瀧「怖ーい(笑)」
卓球「『死霊のはらわた』とか(笑)」
瀧「はらわたとか(笑)」
卓球「はははは(笑)」
瀧「『蛇』とか?(笑)」
卓球「『蛇』『お化け』(笑)」
瀧「『ハチ』とか書いてあるやつ(笑)」
卓球「怖いなそれははは(笑)」
瀧「『ゴキブリ』とか書いてあるやつが(笑)」
卓球「はははは(笑)」
瀧「怖い人たちの、刺繍の入ったね? 特攻服で」
卓球「怖い文字がいっぱい書いてある?」
瀧「怖い文字がいっぱい書いてあってー」
卓球「『鬼』とか(笑)」
瀧「そう(笑) 頭にハチマキをキリッと締めてさぁ」
卓球「うん」
瀧「やってんだけど、それがもうなに、高速道路だぜ? 高速道路って普通、あそこ80キロか、制限時速。たまに追い抜きとかあるから100キロくらい出るじゃん、あそこの道ってさ」
卓球「はいはいはい、うん」
瀧「あそこのとこでさ、あの連中がさ、時速20キロくらい?」
卓球「あぁそれで走んの?」
瀧「20キロくらいでノ〜ロ、野呂圭介だよホントにー」
卓球「ふふふ(笑)」
瀧「走ってるわけだよ。でさ、それ見て…ほんとさ、何、誰も言えないじゃん? 怖くて」
卓球「うん。しかも背中を見たら『ジェイソンは生きていた』とか」
瀧「『ジェイソンは生きていた』とか」
卓球「書いてあったら、怖くて(笑)」
瀧「えー生きてんだー!」
卓球「怖くて言えなーい」
瀧「言おうと思った奴がクルッと振り返るとTシャツに『毒毒モンスター』とか」
卓球「ははははは(笑) うわ、こえー(笑)」
瀧「入ってたら、怖いー!って感じじゃん? 夜中の高速で(笑)」
卓球「『口裂け女』とか、はは(笑)」
瀧「そうそうそう。しかも年明けでなんかほら、なんかありそうな感じするじゃん? 怖いー! って感じでさ」
卓球「うんうんうん」
瀧「で、それでさ、走ったらさ、全然気合い入ってなくてさ、どうも警察が取り締まりしたらしくて、とりあえず高速道路に乗っけちゃおう? 乗っけちゃえば逃げれないじゃんあいつら?」
卓球「あぁそうですねぇ」
瀧「路地に入り込むこと出来ないから、乗っけちゃって取り締まりしようと思ったらしくて、乗っけたところにさ、警察が『コラーッ!』って来てコラーッ(笑)」
卓球「コラーッ!とは言わねぇだろ(笑)」
瀧「コラーッ(笑)」
卓球「警察はコラーッ!とは言わないだろ(笑)」
瀧「ごめんごめんごめん(笑)」
卓球「それは…カミナリおやじだろ(笑) なぁ!」
瀧「コラーッは、コラーッは、コラーッは無い(笑)」
卓球「頭にタンコブ作ってボール持って『誰だー!』って(笑)」
瀧「誰だーって(笑) 着物でな(笑)」
卓球「着物で(笑) それじゃねえだろ(笑)」
瀧「『いかんいかん!』とか言って(笑)…来て、みんな逃げるじゃんあれ? やっぱ捕まっちゃアレだもんで。中央高速にさ、なに、最近のバイク、カウル、カウリングっていうの? 自分の頭より高いやつあんじゃん?」
卓球「あぁあるある」
瀧「ああいうのがさ、30台ぐらい? 高速の上に散乱してるわけ(笑) バイクだけ。ホントに『兵どもの夢の跡』って感じでさ」
卓球「人は乗ってないの?」
瀧「人は乗ってなくて。そこをみんなこうさー」
卓球「避けて通るんだ?」
瀧「避けてこう通りながら行って」
卓球「んで瀧もこう、全裸でこう、走りながら抜けてったんだこう?」
瀧「抜けてったらその、黄色い足跡だけが残ってな(笑)」
卓球「はははははは(笑) あしたの」
瀧「ピカーッって光って(笑)」
卓球「あしたのジョーの(笑)、あの、豚に乗ってジョーが」
瀧「そうそうそう(笑)」
卓球「ジョーが少年院を脱走する時の力石のように、豚を避けて(笑)」
瀧「スイッ、スイッって感じで。ね? それで行ってさぁ、その後、それがもう過ぎて、しばらくこう、要は富士山まではずーっと混んでるわけ」
卓球「あぁ、うん。一般の初詣で客もいたりね」
瀧「トンネルの中ですごい渋滞で、止まっちゃってさ。おっかしーなーなんでこんな渋滞してんのかなーって」
卓球「しょうがないからシルクハットからタバコ出して(笑)」
瀧「タバコ出してさ(笑) プッカーって、トンネルの壁に寄りかかってな? こう…(笑)」
卓球「はははははは(笑) そいで?」
瀧「で(笑) 額のライトも消してな?(笑)」
卓球「あははははははは(笑)」
瀧「寄りかかって、タバコをくゆらせてたわけ(笑)」
卓球「あのよく漫画に出てくるモグラがしてるやつ?(笑)」
瀧「そうそうそうそう。くゆらせてたわけ。そしたらさ、前の方からさ、フォンフォンフォンフォォン!ってさ、あのなに、高速道路をさ、バイクがさ、逆走してくるわけ(笑)」
卓球「ほほほ(笑) 向こうから?」
瀧「『ドキーッ!』って感じでさ(笑)、向こうも俺を見て『ドキーッ!』って感じなんだけどさ(笑)」
卓球「あはははは(笑)」
瀧「はは(笑)」
卓球「おい、裸の奴が(笑)」
瀧「裸の奴がいるぞっていう(笑)」
卓球「あははははははは(笑)」
瀧「気合いの入った奴がいるっていう(笑)」
卓球「ま、さ、この肌寒い元旦に(笑)」
瀧「うん、そうそうそう」
卓球「裸で(笑)」
瀧「ドキーッ!って俺もして、この〜黄色いブリーフの中にある財布を手でガッと握って」
卓球「あははははは(笑)」
瀧「取られちゃいけねぇ」
卓球「取られちゃいけねぇ(笑)」
瀧「な?(笑) それで〜フォンフォーンって逆走してくるからさぁ、んで行ったり来たりしてるわけずーっと」
卓球「バイクが」
瀧「バイクが。そのうち動き出してさぁ、なんだろうと思ったらトンネルの出口あれ2車線じゃん高速道路って。トンネルの出口で、2車線のところにさ、車4台くらい置いてさ片方の車線に。そんで降りちゃって車(笑) ヤンキーがさ、10人くらいでさ、世間話してるんだよそこで(笑)」
卓球「うんうん」
瀧「その横をみんなさ、すいません通ります…って感じでさ」
卓球「はははははは(笑) あぁそう」
瀧「ずーっと通っててさ。そーれもう、あれはねぇ、よくない!」
卓球「何が?」
瀧「気合いが入ってないんだもんだってー」
卓球「ははははは(笑) じゃあどうせ気合い入れて走るなら、全裸に(笑)」
瀧「全裸に(笑)」
卓球「全クシ*5に〜
瀧「そう」
卓球「夜光塗料を塗って」
瀧「夜光塗料塗って」
卓球「シルクハットに古新聞(笑)」
瀧「そうそうそう」
卓球「そしてゲータレードだ(笑)」
瀧「そして背中に怖い字な?」
卓球「はははははは(笑)」
瀧「それぐらいなら認めるけど、あの元旦にね、ノロノロノロノロ行くのは気合いが入ってなくて許せんね!」
卓球「あれは(笑)」
瀧「あれは。ホントに。へへ(笑)」
卓球「ふははははは(笑) それではね、これ1曲目ですけど。実はですねなんかね、聞いた話によると、なんかニューヨークにね、行った人がいるんですって。その人が、クラブ…ニューヨークのクラブに行ったら、『富士山』この曲がかかってたんだって」
瀧「あっそう(笑)」
卓球「ニューヨークのクラブで」
瀧「おもしろナイトだったのかな?」
卓球「ということで聴いてください。電気グルーヴで『富士山』」

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 以上です。核となっているのはちょっと面白げな話なんですが、それを馬鹿なイメージの増幅でどこまでも膨らませていく。
 卓球によるデペッシュ・モーデなどのくっだらないダジャレ癖は現在に至っても治っていません。
 20周年でコマーシャル打ってるけどあのおっさんら何者だようぜーよ なんて思っている若人にも電気グルーヴの才能の一部を感じ取っていただきたいですな。

*1:2人が生み出したギャグ的な言い回し。○○チュルビックという派生型で長くに渡って席巻した

*2:姉の嫁いだ先に瀧の両親が訪れる、の意

*3:デペッシュ・モードをモジったしょうもない駄洒落

*4:帰省する話になる直前、瀧が「日本の音楽業界は小山田圭吾を頂点とし、その下にA=大瀧詠一、K=鈴木慶一、B=佐藤B作の3者が位置するカースト制度である」と断言したクダリがありました

*5:何て言ったか聞き取れず