NARC

ジョー・カーナハン作品『NARC』を見ました。DVDを購入。今年1月に買って5回くらい見てますが感想を残してないので書いておきます。素晴らしい作品なんでね。
2002年にNARCを作ったジョーカーナハンはその作風と能力をトムクルーズから高く評価されて『MISSION IMPOSSIBLE:3』の監督に抜擢されるのですが色々あって降板。
その後、己の個性を存分に発揮した『Smokin' Aces』をヒットさせて有名監督の仲間入り。『特攻野郎Aチーム』や『THE GREY』など、メジャー作品で結果を残し続けています。
「NARC」というのは麻薬取締に当たる捜査官の総称だったかな。主人公はかつて麻薬課で潜入捜査をしていたのですが、犯人を追跡中に同僚を殺され、さらには妊婦を誤射して流産させた重い過去を持つ刑事。
現場から離れていた主人公、麻薬課の潜入捜査官が射殺された事件について調べるよう上から言われ、しぶしぶ資料に目を通す。
殉職した捜査官の相棒的存在だった警部補ヘンリー・オークを現場に戻すよう上司に掛け合うと、許可する代わりにパートナーとして事件の捜査に当たるよう命じられて承諾。
潜入捜査の経験を生かして捜査線上に浮かぶ容疑者を洗う新コンビ。あまりやる気のない主人公に比べ、相棒を殺されたオーク警部補は血気盛ん。オークを演じるレイ・リオッタの貫禄と凶暴性がものすごい説得力。
終盤に近づくにしたがって明らかになっていく事実。そしてオーラスで二転三転四転する事件の真相。刑事殺しの犯人は一体誰なのか・・・じっくり見せるミステリー的なアプローチが重厚。
ネタバレすると、殉職した刑事マイクは潜入の結果薬物にどっぷり浸かったジャンキーになっており、警察の押収物や他の潜入捜査官の情報を売り飛ばすまで落ちぶれていた。マイクは売人と口論しているところを妻の養父でもあるオークに目撃され、激しく叱責されて衝動的に自殺。オークは潜入の末に自殺するところまで追い詰められたマイクを憐れみ、"復讐の対象"をでっち上げようとした。マイクは潜入捜査していた頃の主人公の情報も売っていて、そのせいで主人公は相棒を失い、妊婦から子供を奪った。その事実に辿り着いた主人公は絶望する。というオチでした。
とてもよくできた脚本。教科書にしても良いくらいです。それでいて、ディレクターとして個性をしっかり発揮しているジョーカーナハンは注目すべき偉大な映画作家だと思います。役者の芝居もしっかり見せるし、スキの無い作品。ノワールテイストが好きな人は必見の映画です。