SOG制作日誌(17)

 日曜日だ。追加キャストも含めて全員が集合できるのはどうしても週末になるわけで、自分の中では「勝負の日」と位置付ける。
 役者が集合してからラストシーンのロケーションを探すという暴挙。集合がピシッと決まらない事にも助けられ(ダメじゃん)当初予定していた地下駐車場を畑井に偵察してきてもらうと、セキュリティが厳しいらしく、無理っぽい。ルート的には逆戻りになるが別の駐車場に変更。当日に変更してどうするつもりなのか、無謀だ。
 変更の末に決定した地下駐車場にはラストシーンにピッタリなスペースが存在していて、運が良かったともいえるだろうか。当日になってロケーションを決定する香港スタイルです(嘘)。
 なんとなく流れは決まっているのだが、台本・脚本がない状態でラストシーン撮影に入る。しっかり演技してもらわなくてはいけないシーンなのに、なんとも無茶。簡単に流れを説明した後1カットずつ説明しながら撮影。「役づくり」というものを思い切り否定するかのような手法だが、俺に言わせれば「本当の個性」とは無意識の向こうにあるものだと思うし、脳内台本の通りに演じてくれれば充分個性的なキャラクターになり得るはずなのだ。
 「人待ち」の必要がないため、今までにないスムーズな撮影。とはいえオーラスのイメージは曖昧だわ、カット割りもその場その場で考えるわで「この監督ダイジョーブか?」と思われていたかもしれないが、手を抜いたカットは1つもないつもり。その辺の判断は観客の判断にゆだねましょうか。
 昼食を挟みつつ軽快に撮影は進み、ラストのイメージの大方が「構築された」頃になって…ビルの管理人に見つかる。もちろんアポなし撮影なわけで。万が一に許可が下りるにしても日を改めないとダメという結論に。正直なところ「いいじゃん撮らせてくれたって!」というワガママが俺の中で燃え盛るが、やはり悪いのはこちらなわけで…やむ無く撮影中断。ラストのみの登場となる出演者の方々はお開きということに。申し訳ない。
 気持ちを切り替え、ABCDが地下街を走る画を撮る事に。その際、人待ちに多大な時間を費やした苦労を思い出すと頭がボーっとしてきます。日がとっぷり暮れる頃まで撮りつづけたあげく、ゲーセンでプリクラをズバズバ貫通する画を撮れないまま(タイミングと店員のプレッシャーに負けた)解散。ヒロウコンパイです。