鮫肌男と桃尻女

 古いVHSを漁ってガキの使い見て、トークの切れ味に満足したりしているとそのテープに「鮫肌男と桃尻女」を録画したものが入っていたので観賞。石井克人監督作品。
 パルプフィクションソナチネをイメージしてしまう。Pulp Fictionっぽさを感じる部分はマシマシ状態のナンセンスなトーク。日本人として日本人が話しているbullsh*t系トークを面白いと感じるのはかなり難しい。
 ただ、Pulpと違うのはbullsh*tがbullsh*tで終わってしまう事。ヤクザの下っ端が話すガキの頃の話とか、トシコが話す夢の話とか、「へぇ、そうなんだ」で終わってしまっている。タヌキのホーローの話は多少面白みがあるけど。
 シーンの雰囲気を表現するという効果はあると思うけど、キャラクターを掘り下げるという意味では殆ど意味を成していない。Pulpにおけるトークには意見の対立とか横道にそれていく快感とかがあって、キャラクター造形に一役買っているけど、今作はbullsh*tがナンセンスに終始している。
 今回の鑑賞で初めてソナチネを連想した。我修院vsヤクザの銃撃戦はソナチネ感濃厚ですよね。何の工夫もないカメラワークとアクションでパンパンパン。死ぬ死ぬ死ぬ。ソナチネのスナックガンファイトやラストの殴りこみシーンを思い出した。
 過去と比較してうんぬんとかいやらしい批評の仕方ですが、石井監督のインタビューで上記作品をすごく意識したという発言を見たことがあったのも影響していると思う。やたらと連想してしまった。それにしても意識しすぎなんじゃないか?
 魅力的な作品なのは確かで、浅野氏のナチュラル演技もところどころ堪能できますが、終盤でもっともっと光らせてほしかったかな。
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