戸梶圭太「もっとも虚しい仕事 ブラッディースクランブル」
Oops!昨日発売だったぜ!と気付いて先程購入。2時間足らずで読み切ってしまった。
クールトラッシュ/裏切られた男 → ビーストシェイク/畜生どもの夜 に続く、戸梶圭太初の「シリーズもの」といえる鉤崎シリーズ第三弾。
クールトラッシュはパチ屋の現金輸送車襲撃、ビーストシェイクは違法な稀少動物のオークション会場を襲撃し、一応成功してきた“フリーの犯罪者”鉤崎。
大物芸能人の自宅を襲撃する計画を持ちかけられた鉤崎は、見通しの甘さにいまひとつ乗り気になれないながらも決行を決意する。が。。。
ビーストシェイクのラストシーンで鉤崎の入手した現金の中に偽札が含まれている事が明かされるわけですが、その伏線が本作の序盤であっさり処理されるのに興奮してしまうチルさん。
鉤崎クラスのスーパークール犯罪者だと偽札つかまされたくらいじゃ動じないわけですが、次回作あたりでライヴァルたりえる存在が登場してほしい気もします。
展開の意外性という意味では前二作を上回っている。計画がどのように崩壊し、それ以降どのような起伏を経て、どこに着地するか。
終盤の破天荒な展開は、リアルでシビアな鉤崎シリーズにそぐわない印象は否めず。
着地点を見定めず、ある意味行き当たりばったりに進んでいく物語もアリだと思う。鉤崎のスマートな発想に近い位置から発想し、窮地を脱していく様を描いてほしいシリーズなのだが、今作の終盤は鉤崎の存在感が薄くなってしまった。
逆にいえば戸梶圭太が存在感を発揮してしまっている。物語の展開がそれだけ追い込まれてしまった、ともいえる。
戸梶圭太の新機軸として鉤崎シリーズをとらえているので、シリーズならではのシリアスな世界観を大事にしてほしかった。次回作はあるのか? まだまだ期待したい。
もっとも虚しい仕事 ブラッディースクランブル (カッパ・ノベルス)
- 作者: 戸梶圭太
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2006/06/21
- メディア: 新書
- この商品を含むブログ (7件) を見る