クロノス

 2週休み→放送→1週休み→今週、とやや不定期ペースなフジテレビの深夜番組。今回は80分の拡大版でした。
 今回のジャンルは「逃走中」。プレイヤー11人vsハンター3人+αという構図の、いわばオニごっこです。
 いや〜面白かった。
 ゲームが行われるフィールドによって様々なギミックが用意され、それによって予期せぬドラマが生まれてきましたが、今回のフィールドは明け方の公園。場所そのものにはそれほど意味はありませんでした。
 ゲームが始まって間もなくしてプレイヤー達に「多数決投票で失格者を決めよ」という指令が下ります。プレイヤーは考える時間を殆ど与えられずに投票。
 それによってプレイヤーのうちの1人が選出されたわけですが、そのプレイヤーは失格者としてではなく「裏切り者」として引き続きゲームに残る事に。「裏切り者」は他のプレイヤーの居場所をハンターへ通報可能。そのプレイヤーが確保される毎にクリア時の報酬にボーナス(5万円)が追加される、という新ルールでした。
 “ハンターから逃げ切る”という同じ目的を持ったプレイヤー達でしたが、このルールによって互いを信用できなくなりました。ハンターからだけでなく、“裏切り者かもしれない”他のプレイヤーからも隠れる必要が生じる。このルールは新しい緊張感を生むスマッシュヒットでした。
 ゲーム開始から6分で裏切り者が選出され、そこから2分後には最初の“通報”が。ピチピチの女性アイドル加藤沙耶香さんがあっけなく確保され、裏切り者の通報による確保者である事がプレイヤー達に知らされました。
 プレイヤーも視聴者も、誰が裏切り者なのかを知る術がありません。偶然出会ったプレイヤー同士はお互いを牽制するような会話で腹の探りあいをしますが、疑心が深まるばかり。
 そんな中、プレイヤーのほっしゃん。がナイスムーブを見せます。各プレイヤーに直接電話をし、「誰に投票したか」を率直に聞き出すという方法に打ってでました。素直に回答するものあり、意図を読み取れずにおそるおそる回答するものあり。
 視聴者はそんなやりとりを見て裏切り者が誰かを推理していきます。裏切り者が裏切り者を探し当てる意味は無いので、ほっしゃん。の行動は自分への疑惑を晴らす最短の近道なわけですが、そこまで冷静になれない一部プレイヤーはブシツケな電話を寄越したほっしゃん。への疑念を抱いていきます。
 ハンターに見つかった矢口真里がうまく逃げ切り、その矢口の悲鳴を聞いてニヤニヤしていた定岡正二が背後への注意をおろそかにしてあっさり確保されるなど、ガチンコなゲームならではのリアルな失態も面白い。
 身投げ娘。こと矢口真里は今回のゲームでかなり美味しいポジションでした。矢口と接触したプレイヤー(定岡・くわばた)が接触直後に確保されてしまった事で、裏切り者疑惑が高まっていく。編集もやりやすかったでしょう。
 逆に株を下げたのは、最小限のアクションしか起こさなかった水野裕子。フィジカル自慢のプレイヤーにも関わらず公園の端で終始隠れっぱなしでした。
 電話での調査を行ったほっしゃん。、チルさん的にはほっしゃん。策に溺れたあげく適当なタイミングで確保されてくれると良いな〜なんて考えていましたが、ペナルティ・ヒデとの接触の直後に確保される結果に。即座に「(裏切り者は)ヒデやな…」と言い残して牢獄へ。
 確保された4人のプレイヤーがキングコング西野亮廣と矢口を有力容疑者とにらんだ直後(残り40分)、タイムリミットの設けられたミッションが公布されます。残り20分の時点で新たに6体のハンターがエリア内に放たれる。それを阻止するためには冬眠中ハンターの傍にあるタイマーを止める必要がある。止められる可能性は2分の1、止められなかったら30秒後にハンター覚醒。一時的なリスクを背負ってハンター追加を阻止できるか、プレイヤーを動かすためのギミックです。
 有力容疑者である矢口と西野が接近、矢口が単刀直入に「西野さん!裏切り者!」と声をかけるも、西野は否定。疑念を高めつつ両者は離れていく。西野の様子を凝視していた矢口が電話を耳にして…というところでコマーシャル。これは見事でした。
 CMが明けた直後、裏切り者が視聴者に明かされます。裏切り者は、キンコン西野でした。西野は接触した矢口の居場所を通報せず、冬眠ハンターのタイマー解除をさせるために泳がせるという判断。この辺の“遊び”が分かっている人間が裏切り者に選出されたのは、ディレクター的に助かったでしょう。
 素直に頑張る矢口は冬眠ハンターの永眠を狙ってタイマーを止めにかかります。プレイヤー各自が所有しているカギを、タイマーについている2つの鍵穴のうちのどちらかに差し込まないといけない。テンパりながらもカギを差し込む矢口。結果は…アウト。タイマーは止まらず、30秒の覚醒カウントダウン開始。
 その様子を伺っていた西野は覚醒を阻止されたであろう冬眠ハンターに近付く。ピー!とアラームが鳴り響く。「なんやて!?」と言って必死に逃げる。この辺のリアクションは素晴らしかったです。
 ハンター追加は西野にとってもデメリットが多い。覚醒阻止を狙い、見事に成功。ウド鈴木眞鍋かをりもそれぞれ覚醒阻止に成功。ペナルティ・ヒデは冬眠ハンターを探している間に見つかり、確保される。
 自分が覚醒させたハンターから距離を取ってバテ気味な矢口、背後への注意を疎かにしてしまい確保。がんばりました。
 水野同様に消極的だったペナルティ・ワッキーも覚醒阻止を狙ったが、発見したハンター座席はすでにモヌケのカラ。矢口が覚醒させてしまった後だった。諦めて最初の隠れ場所に戻っていく。
 残り20分になってハンターが一気に増殖し7人に。自分をハンターであると予想していたワッキーをマークし、通報する西野だがワッキーのフットワークに苦戦し、確保に至らしめられず。
 爆発的に増加したハンターの前にウド鈴木キンコン西野眞鍋かをりが順調に確保されていく。ヒール役としてゲームを作った西野はもう少し面白い捕まり方を期待したんですが、ガチンコならではのあっけない憤死でした。牢獄で他のプレイヤーからイジられ芸人としては美味しいか。
 最終局面で生き残ったのは肉体派でありながら慎重さを貫いたペナルティ・ワッキー水野裕子。二人は互いを目視できる範囲に隠れています。残り3分を切ったところで二人のところにハンターが近付いていく。それを見たワッキー水野裕子に電話をかけ、ハンターへの注意を促そうとする。ケイタイは当然マナーモードになっているはずもなく、着信音がハンターの耳に届いてしまう
 この辺の判断はワッキーの天然ボケなのか、策略なのかは微妙なところ。ハンターに見つかった水野はなんとか逃げ切ろうとするも、確保される。それを見たワッキーは「よし!」と歓喜の声。ワッキーは水野の位置をなんとなく把握していたが、水野はワッキーの位置を把握していなかった。ここが勝敗の分かれ目だったか。
 水野を生け贄に捧げたワッキーはタイムアップまで隠れきり、賞金42万円をゲット。消極的だった二人が残ったのは残念に思いましたが、最後の最後でドラマが生まれたのでよしとしましょう。
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 ガチンコ勝負の面白さ。フィクションには手が届かない領域。現ナマが露骨に扱われる番組として、年齢×1万円をタレントに渡して使い道を見届けるという「トシガイ」なんて番組がありますが…発想のキレが違いすぎますよね。いやー面白かった。