M

 馳星周の中篇集「M」が映画化されると知る。(予告編ブログ経由) というか「ヴァイブレータ」の監督の新作タイトルが「M」と知り、「馳星周のやつなんじゃないの?」と思ったら…ビンゴでした。
 Mは直木賞候補にもなった作品だけあってチルさんにとっても印象深いです。要するにマゾヒズム/マゾヒストを描いている。テイストは馳さんお得意のノワール系だ。
 それなりにエキセントリックな映像になるであろう原作をチョイスして監督していくディレクターさんに違和感を感じざるを得ないですが、4本の中篇を1本の映画にまとめるという点は興味深いです。
 監督の「人間が持つ本質を描きたい」というコメントには正直苦笑してしまった。馳星周に傾倒していた頃のチルさんも同じような事を考えていたし、同じような名目でノワールな映画を撮りたがっていたのです。
 でも、原作を借りてきて映画として仕上げるだけで人間の本質を描いた事になるものなのか? その辺が違和感の正体なのです。
 なんて愚痴ってみても、この作品の監督さんは立派に評価されてるわけで。国際映画祭の「ある視点」部門にエントリーとかされてるわけで。すごーい。
 今チルさんが書いてるシナリオは人間を描いているつもりです。いい加減、人間を描かなきゃ勝負できない。だから描くしかないんです。才能とは欠落である。
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 http://www.movie-m.com/ 廣木隆一監督作品 映画『M』公式サイト