zodiac

 某えいがびとに「君はゾディアックを見たか?」と煽られてしまったのでレンタルして観ました。
 結構なインパクトを受けたポン・ジュノ監督作品「殺人の追憶/memories of murder」を意識してしまうのは避けられそうにないなと感じていましたが、そうでもなかったです。
 どこまでがノンフィクションでどこからがフィクションなんだろうな〜と思いながら観ましたが基本的には最後までノンフィクションですね。「ここから先はフィクション」という構成ではありませんでした。
 その割には周到なサスペンス作品のようにドラマチックな現実が進行していき、大いなるクライマックスを経て結末に至っている。「点と線」に匹敵するほどの執念深い考察と推理を当時の関係者は現実的に働かせていた、にも関わらず犯人逮捕には至らなかった。
 ドラマ性はバッチリである意味美味しいモチーフですが、相当な覚悟が無いと映画化は不可能でしょうね。それほど重厚かつ複雑な事件ということでしょうか。そしてデビッド・フィンチャーは賭けに勝った。
 いまひとつ自分の中で言葉がまとまらないのは、「ノンフィクション体験としての“zodiac”」が大きすぎて「フィクション体験としての“zodiac”」を脇に押しやってしまったからかもしれません。
 memories of murderはフィルムメイカーであるポンジュノのセンスがそのままぶつけられた創作シーンが存在した(その余地が残された事件といえるほどズサンな捜査だった)ゆえに、そのセンスに素直に感嘆することが出来ましたが、zodiac事件はそうもいかない。
 何度か観るうちにフィンチャーのテイストが見えてくるのかもしれません。zodiacの手紙の文面が部屋中に散らばってる描写は面白かったです。基本的にはハリウッド的な腕力で片を付けたって印象ですが…とりあえず面白かったっす。