智代のリアリティ

 10年前に自分が23歳だった頃、あるプロジェクトの脚本家チームに選ばれるためにPR素材として書いた「5分程度の喜劇」が『智代のリアリティ』という短編である。
http://www.dd.iij4u.or.jp/~girl2/scenario/tomoyo.html
 締め切りにギリギリ間に合うかどうかという状況で書いたため、今読んでみると後半以降の牽引力に乏しいのが改めてよくわかる。改善の余地は多々ある。しかし前半に詰め込まれた細かいネタの数々にはハッキリと勝機を見いだせる。
 吉田嬢二の監督復帰作はこの作品になりそうである。
 週明けにも東京を出て撮影の準備を進めてしまおうか――そう考えるとウキウキしてくる。それくらいの猛進っぷりがあっても良い。実際にそうするか、確率は半々くらい。
 どちらにしろ前進する実感が欲しいだけだ。
 この脚本を書いた事で、ある人物には評価されてプロジェクトチームに推挙されたが、とあるコミュニティにおける発言の傾向に問題があったため危険因子とみなされてチーム入りならず。そのプロジェクトはくだらない大人の事情で混迷を極め、どうしようもない映画が1本生まれた。自分がチーム入りしたところで傀儡師連中が喜ぶような働きは果たせなかっただろう。
 しかしこの脚本を映像化するという可能性を自分の中でふくらませようとしなかった点は情けない。改めてこのシナリオに着目した理由はよくわからないが、今は自分の直感を信じようと思う。いい映画にしたい。