戸梶圭太「My Sweet Funny Hell」

 字数が多いので英語にしましたが「マイ・スウィート・ファニー・ヘル」です。オムニバスに収められていたトカジ短編。
 レイミという女性が主役なのですが前述の「レイミ 聖女再臨」のレイミとは別のキャラクターでした。
 レイミがハコフグみたいな浮遊乗用車[フライヤー]を駆るシーンから始まり、「むむむ、SFか」と思わせる序盤。
 一転して、みじめな男=ツボイが試験会場で長さ2センチの鉛筆を使うのに苦労している場面。あえて鉛筆というのが独特のセンスなのかな、と思いきや(なぜ俺が地獄に!)の一文でドッキリ。
 レイミは地獄の経営者の娘で、ツボイは地獄に来たての31歳。父親の病死を機に半ばごり押しで経営権を握ったレイミが地獄の構造改革を進めていくという無茶な話である。
 網膜スキャナーによる署名で遺言採択などのトカジ流のSF観と、「最速出社 or DIE」な会社出勤レースなどで爆発するスプラッタ/責め苦描写がグイグイ加速していく。
 ミステリとは程遠い遊び短編。サクッと血みどろ。心地よかったです。